M染研究所


2019.11.21
バッグ染め

久しぶりに染めてみました。ログウッド染めです。無印のバッグです。さらしの白でした。上が2度染め。下が1度染め。

初めてかなり濃いめの黒にちかい、味のある色に染まりました。
かなりやっていなかったので媒染剤や染料の消費期限が心配になり、配分など無視して全部使ってしまいました。残しても無駄になるかと思ってしまって。媒染剤など変な色だったので、もうダメな状態だったかもしれません。
かなり贅沢な分量だったためか、糸も結構染まっています。
黒でもなく、天然染め独特の素晴らしい色になったと思います。

下の1度染めもこうやって撮影して画像で見てみると、なかなか味のある色になっていますね。実際はちょっとムラが強く、残念な感じに思えたのですが。もう少し大きめの作業っぽいバッグだったらいい感じだったかもしれません。

化学染料ではない、少しアンティークっぽい味わいある色が出せました。色って重要ですよね。
かなり気にっています。バッグの製品染めも楽しいですね。

 

2019.3.27
紅花染め

春めいて暖かくなってきましたが、先日紅花染めをやってみました。

紅花は中近東やエチオピアあたりで約二千年も前から染料や薬草として栽培されていたそうです。鮮やかな色が出る為か貴重で高価なもので、各地域で高貴な方々の間で秘法として楽しまれていたとの事。
中国から日本へその栽培方法と染色技術が伝わってきたのは五~六世紀と言われています。その鮮麗な色相が高貴な人々に賛美されて、万葉集にもたくさん取り上げられています。栽培に手間がかかり、染色法も難解であったため非常に貴重で、平安時代には高位の人だけが着用を許された色でした。

紅花を摘んで乾燥させた散花(ちりばな)を使い染めてみました。紅花は見た目通り赤と黄色の鮮やかな色素を含んでいる為、鮮やかな赤系に染めるポイントとなる事は、黄色の色素を追い出す事です。
冷水に散花を入れ、何度も何度も漉します。1日に何度も繰り返し、6日くらいかけて黄色が出なくなるまで続けます。これは根気の要る作業です。
黄水出しの終わった散花はアルカリで紅の色素を揉み出し、酸で中和し、染液を抽出していきます。

綿の花柄模様のハンカチがあったのでそれを染めてみました。ちょっと可愛すぎる(笑)でも鮮やかに染まりました!

昔の庶民はわずかに一反の布を染めるのに紅花一斤だけを使ったものだけが許されていて、これは「一斤染め(いっこん)」と呼ばれていたそうですが、一斤染めでやってみたのがこちらです。
控えめな桜の花のようで上品で良い色になったと思います。

2018.9.26
すくも天然藍染め

徳島の藍士佐藤さんのすくも(天然藍染めの染料)が手に入ったので、生まれて初めて自分ですくもを使った藍染めに挑戦しました。すくもは、たで藍を藍染め用の染料にした貴重なものです。現在藍士は徳島に5人いるだけという(一般的に言われているのが)事なので、すくもは将来誰も作る人がいなくなってしまうのではないか、と言われているほど大変貴重なものなのです。
画像は、既に下処理をしてもう染められる状態になった藍の染液です。表面に藍の華と言われる泡が建っています。藍は媒染剤の要らない単色性の建染染料です。

今回は、汚れたり痛んだりして着なくなった白いTシャツと白いワンピース、前回ログウッドで染めた黒いTシャツを更に黒くする為の重ね染めをやりました。

洋服は全て綿素材(一部異素材)でしたので前日から熱湯に地入れ(染料を浸み込みやすくする為に湯に浸ける)しておいたものを当日に精錬(中性洗剤で入れて煮る)をして脱水とすすぎをくり返しました。藍染めの場合はタンニン酸などの下地処理は必要ありません。
そして藍液の中で10分繰り液を吸着させ、しっかり絞ってハンガーに吊るして15分空気にさらして酸化させて、を2回繰り返しました。藍染めは中性よりアルカリ側で染めるので、PHは11~12。すぐに11以下に下がってしまいますので、3着をまず2回ずつしっかり染めました。
最初の画像はワンピース。どうでしょう、良く染まったのではないでしょうか。元画像を撮り忘れたのですが、疲れたような晒しに近い白でした。直後はもっと紺だったのですが、何度も仕上げにすすぎと絞りを繰り返していくうちに、色が安定してきてブルーっぽくなりました。持ち主もこれだったら着たくなると言ってくれました。ただ本人ももう少し濃紺にして欲しいということなので、後日更に染め重ねをしようと思いました。

そしてTシャツは、ログウッドで染めたものを藍で重ね染めしたものです。かなり黒に近づいたと思います。ただ黒は本当に難しいですね。相当苦労しました。重ねて染めているので、堅牢度もあるのではないでしょうか。しばらく着てみていこうと思います。やはり元はシミの付いた疲れてきた白Tでしたので、じゅぶん甦りました。白いTシャツやシャツだけは、ぱっと艶やかな白で無いと何かみっともないので、染め直すとうれしいです。