たま〜に映画 音楽情報


2018.11.28
美と醜 虚構と実像 アートを散りばめた心の風景画

監督はあのトム・フォード。グッチやイブ・サンローランのファッションデザイナーを歴任した人です。ファッション業界でその名を馳せたトップデザイナーのセンスが、映画にどう反映されるのか。そしてジェイク・ギレンホールも出ているという事で否が応でも期待してしまう作品でした。
内容は、アートがふんだんに取り入れられた複雑なミステリーでした。時間軸がちょくちょく変わるので難解に感じますが、面白かったです。まず冒頭の太った裸の女性(失礼!他に表現がありません)のインパクト!少し嫌味なほどにアート作品が登場します。そしてテキサスの荒野。主人公たちのファッションと、時代に取り残されたかのような警官のカウボーイスタイル。徹底的な美と醜。虚構と実像。これも心象風景なのでしょうか。いちいち、何を意味しているのか?不思議な思いに駆られます。

やはり見る者に考えさせる映画です。最後は分かりません。いろいろ想像はできます。暴力的なシーンがあり、ストーリーというより内省的な心の風景画という感じ。意見は分かれるでしょうが、監督トム・フォードもなかなかの才能だと思います。
ただ、どうなんでしょう、トム・フォードはアートや現実世界のセレブを皮肉っているのでしょうか?どういう気持ちでファッションの仕事をしているのか?気になります。

2018.10.31
不自然で不思議で不気味な演出

最近大変な衝撃を受けた映画があります。森田芳光監督の「39 刑法第三十九条」。この映画のテーマは日本の刑法39条で、この法律は心神喪失者を責任能力が無いと判断した場合は処罰しないか、限定責任として刑を減軽することを定めています。心神喪失と判定されると、起訴されても無罪となるという事に関しての問題提起が根底にあると思います。がしかし、そもそも人間の行為が、その本質を捉えているのか、その本質に真摯であるのか、人のため、社会のためになっているのかという、刑法第三十九条の枠を超えた壮大なテーマ性があると思いました。森田監督の映画は実はあまり見た事がなかったのですが、この作品で本当に才能のある方だという事が良く分かりました。
そう言うと単純な社会派ドキュメンタリー映画かと思われるかもしれませんが(タイトルで私もそう思いました)、そうではありません。この映画が面白かったのは、本当に不思議で不気味な映画だからです。ホラー映画に近いです。暗さを強調した映像。とても珍しいカメラワーク。随所に不安を煽るようなカットが入ります。「自然な演技」という言葉がありますが、強烈に演出されたあまりにも不自然な演技。何を言っているのか聞き取りにくい言葉。樹木希林、岸部一徳、江守徹、杉浦直樹、みんな気持ち悪いです。まともな(と思える)人がいません。ゆえに、事実と虚偽、正しさと間違いの境界がぼやけます。真実が分からなくなります。こういう演出ってあったんですね。恐らく原作も脚本も素晴らしいのだと思いますが、森田監督の演出に感服しました。
ちょっと分からない部分があったので2回見ました。1回ではもやもやするかもしれません。どこからどこまでが正常なのか、異常なのか。真剣に考えているのか、騙しているのか。真面目なのか、繕っているのか。救うためなのか、その人のためになるのか、誰のためなのか。すごい映画でした。

2018.10.2
AI、そしてどこまで他人を理解し合えるか

先日「2001年宇宙の旅」の話をしましたが、友人にもキューブリックの話をした所、お薦めされたのがこの「エクスマキナ」です。アレックス・ガーランドの監督・脚本の2015年のイギリスのSFスリラー作品です。ガーランドは初監督作品で、アカデミー賞視覚効果賞を受賞、脚本賞にはノミネートされたそうです。
見た感想としては、本当にキューブリックを連想しました。不思議な山荘?のような場所が舞台なのですが、まるで宇宙船のような非現実的でクールな展開になります。AIがどこまで人間的な感情を持つかみたいな事がテーマとなり、人間の心に芽生える猜疑心がどんどん膨らんでいきます。人の心理自体を読むことさえ難しいのに、AIの心をの変化を人間が読み取れるのか、ネガティブに考えると恐怖ですね。AIは新しい民族であって、支配するものではないという事でしょう。
映像美にこだわっている所もキューブリックのようです。やはり個人差はあるかもしれませんが、私は面白かったです。もしかしたら、こういった研究とか実験が世界で行われているかと思うと、(現実の普通の生活者からすると)今の時代はとんでもない非現実と現実が重なり合った複雑な時代なのだと思わざるを得ません。

2018.6.11
いろいろな意味で「怖い映画」

昨年ノーベル賞で話題になったカズオ・イシグロの「私を離さないで」は怖い映画でした。タイトルだけだと純文学、恋愛モノかと思ったほど。来るべき未来を問うメッセージ性の強い作品でした。小説を読んだ友人には小説も薦められました。
そして更に怖かったのが、イーストウッドの「チェンジリング」。実話というのが特に怖い。アンジェリーナ・ジョリーがアカデミー主演女優賞を取った熱演。こんなことが許されるのか、の連続。ここまでではないにしても、現実も案外、理不尽は身近にあるのかも。
そしてテレビでもやっていたので改めてじっくり見たのが「2001年宇宙の旅」。お気に入りなので何度も見ていますが、こちらも本当に怖いです。普通に月旅行を楽しむ人たちのおしゃれさや便利さがものすごく怖いです。今すごくリアルなシーンのような気がして。45年くらい前の作品だなんてキューブリックすごい!全く古くならないどころかAIコワっ!

2018.6.8
雨の日は会えない、晴れた日は君を想う

主演のジェイク・ギレンホールがとても良いです。主人公の行動を含めて、ちょっと不思議な感じですが、現代人にピッタリの映画です。特に忙しい日本人に。
主人公の突飛な行動を理解できるかで印象は変わってくるかと思いますが、誰でも忙しい現実の中で忘れてしまっている感情があると思います。
どんな映画なのかと聞かれても答えるのが難しいのですが、単純な恋愛映画ではないです。少しアート感が強いですが、人生の中にあるモヤモヤを上手にあぶりだしていると思います。そういう意味では日本映画っぽいかも。