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2025.3.12
CLOUD

三鷹 雨

黒澤清監督作品「cloud」。アマゾンプライムで視聴。
ネット社会での無自覚な憎悪という現代の闇をテーマとした、新しい恐怖映画。
ちょうど直前に(偶然にも)クエンティン・タランティーノ監督の「ジャンゴ」を見ていたので、黒澤清版クエンティン・タランティーノ風作品、とも言えると思った。日本で一般人が撃ち合うという設定が、今の日本では突飛に思うかもしれないが、そこはエンターテイメントとして見て欲しいし、間違えば将来の日本の現実になるかもしれない。

ここに出てくる人たちは、ごく普通に生活を営んでいる人たち。でも私たちと同じく、多義的で曖昧な存在。はっきりと他人に意思表示をしたりしない、人から見ると何を考えているか分からない部分を持っている。その事は時々誤解を生んだりする。それが取り返しのつかない事になるかも知れない、というのがこの映画のテーマで、現代社会特有の恐怖でもある。

残念な事だが、今日のニュースでも、自らをライブ配信をしていた女性がその視聴者らしき人に刺される事件が起きた。まるでこの映画が警告しているような事件になってしまった。
人間の感情はコントロール出来ない。あらぬ方向に暴発してしまう。
黒澤監督は「真面目な悪者」と表現していたが、昨今の特殊詐欺に関しても、今の社会が、スマホでやり取り出来て、罪の意識が薄く、簡単な事に思わせてしまう怖さがある。

親子でもスマホを見ながら話をしたりすると、ちゃんと話を聞いていたのか、きちんと伝わったのか、分からない時ってありますよね。きちんと目を見て話をする。そうした「会話」をおざなりにすると、誤解が化け物のように暴発する可能性もある、という事を思った。