スパイス万歳


2022.2.14
カレーは五感で

体調を崩した時に、体調が良くなったら楽しもうと思ってこのコラムを立ち上げたのですが、いざ良くなってみると、パターンを作る事が楽しくなり料理に時間を割けなくなっていました。
そんな中先日、今やカレーの聖地と呼ばれる下北沢の人気店「カレーの惑星」というお店に行ってカレーを食べ、衝撃を受けたのでご報告したくなりました。

まずこの店の外観ですが、古い昔ながらのカメラ屋さんを居抜きで使っていながら、店内はアンティーク調のテーブルや椅子、照明、小物など凝っていて実におしゃれです。「フジカラー 北沢フォトスタジオ」の緑の看板はそのままです。
下北沢は大規模工事で小田急線が地下にもぐった為、線路だった場所がコンクリート打ちっぱなしの超モダンな商業施設になったので、それを見るのが散歩の目的でした。正直な感想を言うと、新しい商業施設はあまりにもモダン、おしゃれ過ぎてかえって浮いている印象でした。「カレーの惑星」のお店のように、外観はお金を掛けず手を掛けずにわざとほったらかしていながら、店内のアンティーク雑貨だけでセンスを感じさせる方が相当おしゃれ感が増すな、と改めて感じました。

そしてカレーです。ここは2種類のカレーを半分づつ注文出来ます。真ん中に御飯を盛っているのが惑星なんでしょうか。カレー自体もマスタードシードやターメリック、ナツメグなどスパイスをふんだんに使っていてものすごくおいしいのですが、アートのように散りばめられた付け合わせが素晴らしくて、食べるたびに食感が変わり飽きさせません。

「合挽肉のスパイシー焦がしキーマ」は挽肉が粗くて焦がしてあって苦みもあり今まで食べた事のない強烈パンチ。もう1つは豆と季節野菜のほんのり優しい風味の「ポタージュカレー」。どちらも独特でおいしく、さらに2種類を混ぜて食べても絶妙のバランスで一口食べるごとに味がどんどん変化して味変できます。

そして付け合わせのヨーグルト、すごく小さい角切りにしたりんご、青菜や人参の酢漬けのアチャール、そして豆。どれも素晴らしくおいしいし、食感が全く違ってものすごく楽しめます。五感が楽しめるというか。
お笑い芸人がカレーは飲み物と言っていましたが、このカレーは様々な歯ごたえが味の変化をさらに奥深い味にしてくれます。食感、だいじですよね。

この豆何だろうと思って帰ってからネット検索したのですが、どうやら「ウラドダル」という南インド料理には欠かせない豆だそうで、この豆の食感と風味と旨味に完全にノックアウトされました。やっぱりプロの味ってすごいものですね。

さっそく2種類の組み合わせ、揃えられる食材で付け合わせをやってみました。そのうち「ウラドダル」もやってみたいと思っています。

2020.4.14
トマトべジ

外出自粛により家で食事する機会が増えましたね。カレーはみんな大好きですし、1度作ればもう1回分以上はもつので結果楽だと思います。
これは「トマトベジ」と呼ばれるカレー。今、うちでは定番となっている、トマトの酸味がさっぱりした、カレー兼スープのような料理です。
カレーは重いという時もさっぱりと頂けます。スパイストマトスープみたい。サイドメニュー的に少し出してご飯がすすむなんて感じにも。常に冷凍庫にある保存食です。本当のスパイスカレーは、作り立てが一番おいしいそうですが......

レシピは色々な料理本を読んで試してちょっと変えたりしたもので、オリジナルとは呼べません。
必要なスパイスはターメリックだけ。うちではあんまり辛くしません。好みです。玉ねぎ、にんにく、青唐辛子をみじん切りにして炒め、こげ茶になったらトマトを加え、ターメリックを加えて炒め、最後にココナッツミルク、牛乳を加えて煮て、塩で調整。
写真のひじきみたいのは炒めた玉ねぎで、いろいろ加えた直後です。

2020.3.24
基本スパイス

スパイスは「ターメリック」「コリアンパウダー」「マスターシード」「ガラムマサラ」が基本です。
これに天然塩(粗塩)だけ。
たまにクローブ、カルダモン、シナモンスティック、ローリエ、、クミンシード、カイエンペッパーなどを使います。
(画像には「カイエンペッパー」だけ写っていません)
これにカレーリーフ。出来れば生、なければ乾燥。

まず揃える事が楽しい。並べてみてほくそ笑んでいます。
そしてこれを素材を加えて自由に操ります。

2020.3.16
南インド

世界中にスパイスの文化があります。インドでも北インドと南インドでは違います。
カレーも一般的に、北インドはバターや生クリームなどを使うのでとろみがあって濃厚ですが、南インドはバターや生クリームなどの乳製品は使わないのでとろみが少なくさらさらしたカレーになります。南の方が軽くてあっさりしていて食べやすくてスパイシーで飽きないようです。

南インド料理は辛いだけでなく素材の旨味やスパイスの風味を生かした深い味わいなので確かに日本人に合う気がします。好みの問題もあります。

私がはまった南インドの特徴は、じっくり煮込むのではなくて具材をおいしくする為の「仕込み」を丁寧にするのが最大のポイントです。素材の旨味を生かすのでだしは使わず基本はスパイスと天然塩(粗塩)だけ。
カレーというと煮込むイメージですが南インドは煮込まずあまり時間を掛けない。その分「仕込み」をしっかりして素材の旨味を残し、スパイスの香りを引き立てる事が出来る。

2020.3.4
スパイスに夢中になりました

このコーナーはパタンナーが担当します。

昨年は体調不良が続きずっと辛い状態で何かに興味がわく余裕は無かったのですが、めずらしく夜見たテレビがきっかけで、心の中でずっと希望というか支えになっていた事がありました。それは情熱大陸という番組で、若い女性が何かのスパイスや葉っぱを鍋で炒めている姿でした。女性は大久保にある魯珈というカレー屋さんの店主でした。その手慣れた手つきが、私の頭から離れなくなりました。

一番いいなと思った映像があります。店主が鍋の中に油をひいて何か分からないが色々なスパイスや葉っぱを炒めていて、それが透明の油の中でぱちぱちと弾けているシーンです。まるで香りが立ち上ってくるようでずっと目が釘づけになりました。女性はスパイスを自由に操っているかのようでした。するとどうしてもその香りを嗅いでみたくなりました。食べたいとかよりむしろ嗅いでみたい。

その後さらに体調が悪くなったのですが、あの映像は心の支えで、治ったら絶対私も作りたい!あの香りを嗅いでみたい!と思い続けていました。そしてようやく体調快復後、念願の大久保のイスラム横丁でたくさんのスパイスを手に入れることが出来ました。私のスパイス三昧の始まりです。